「再建築不可で、建物も傾いている。だから処分は難しい」
他の不動産会社からそう言われた不動産が、数年の時間を経て、無事に新しい所有者へ引き継がれました。
今回の舞台は東京都大田区矢口3丁目。

細い路地の奥に建つ、木造2階建の古い中古戸建です。
この物件は、数年前に当社、株式会社リライトが直接買い取った不動産でした。
最初のご相談者様は、以前の所有者の方。
「近所の方には知られずに手放したい」というご希望がありました。
ところが、建築基準法上の接道義務を満たしていないため再建築不可。さらに建物には傾きがあり、他の不動産会社から処分が難しいと言われていたそうです。
不動産の売却には、価格以外にも大切な条件があります。
今回のように近隣に知られずに手放したいという場合、広く広告して購入希望者を募集する仲介売却が、必ずしも適しているとは限りません。
そこで当社では、直接買取りという方法を選びました。
これにより、一般向けの販売広告を出すことなく、前所有者様から不動産を引き受けることができました。
ただし、買取りをした時点で不動産そのものの問題が解決したわけではありません。
再建築不可という制約は残ったままです。
では、どうするか。
当社が選んだのは、建物を解体するのではなく、既存建物をリフォームして賃貸住宅として活用する方法でした。
再建築不可物件の場合、建物を解体すると原則として新築できないため、既存建物を活かせるかどうかが重要な判断材料になります。
もちろん、建物の状態や改修内容によっては法的な制約を受けるため、何でも自由にリフォームできるわけではありません。
今回の物件では、既存建物を活用して賃貸住宅として再生し、実際に入居者様にお住まいいただくことができました。
つまり、当社が買い取った不動産は、売却するまでの間、賃貸住宅として役割を果たしていたのです。
その後、入居者様が退去されたことをきっかけに、今度は売却することにしました。
しかし、ここからがまた一苦労。
再建築不可という問題に加え、建物の老朽化や傾き、私道、上下水道、越境など、確認すべきことが数多くありました。
そこで当社では、専門会社に住宅総合点検を依頼しました。
その結果、2階の床で最大12/1,000の傾きが確認されました。
水平距離1mに対して約12mmの高低差があるということです。
建物の傾きは、購入希望者にとって大きな懸念材料です。
原因によっては、建物の構造や地盤の問題が関係している可能性もあり、単に「古い建物だから仕方ない」で済ませられるものではありません。
さらに、雨漏りの痕跡や設備の老朽化なども確認されました。
道路関係についても、第三者所有の私道が関係していました。
当社では関係する私道の一部について通行・掘削承諾書を取得していましたが、すべての関係地について承諾が得られていたわけではありません。
また、上下水道の配管にも私設管や第三者所有地が関係しており、将来的な維持管理や修繕に注意が必要でした。
隣接地との間には越境に関する問題もありました。
さらに、多摩川の洪水に関するハザードマップでは、想定浸水深0.5m以上3.0m未満の区域に位置し、家屋倒壊等氾濫想定区域にも該当していました。
これだけの問題があると、一般的な中古住宅と同じように販売することはできません。
そこで当社では、建物調査の結果を含め、確認できた問題点を整理して購入検討者へ開示しました。
不動産売買では、売主が知っている問題を買主へ適切に伝えることが重要です。
特に今回のように当社が宅建業者として売主となり、一般のお客様が買主となる取引では、契約不適合責任などの法的なルールにも十分な配慮が必要になります。
問題を隠して売るのではなく、どのような状態の不動産なのかを説明し、その条件を踏まえて購入を判断していただく。
それが今回の販売方針でした。
そして、購入希望者とのご縁が生まれました。
買主様には、再建築不可であること、建物の傾き、私道、配管、越境、水害リスクなどをお伝えしたうえで売買契約を締結。
2026年10月8日、無事に残代金決済・引渡しを完了しました。
引渡し当日は、当社スタッフの伊藤と一緒に蒲田駅近くの不動産会社へ。
そこで買主様に購入理由を伺ったところ、非常に印象的な言葉がありました。
「この場所で、この価格はなかなかないでしょ」
さらに驚いたことに、現在お住まいのご自宅の方が傾いているそうで、今回の物件の傾きについては、ほとんど気にされていませんでした。
もちろん、これは今回の買主様の判断であって、建物の傾きが問題にならないという意味ではありません。
しかし、不動産の市場性を考えるうえで、非常に興味深い出来事でした。
売主側から見れば、再建築不可や建物の傾きは大きなマイナス要素です。
ところが、買主様はそれらを理解したうえで、立地と価格のバランスに価値を見いだされていたのです。
不動産の価格は、建物の築年数や土地面積だけで決まるわけではありません。
利用目的、立地、購入予算、修繕に対する考え方など、買主様ごとの事情によって判断が変わります。
今回の案件で重要だったのは、問題点を把握して適切に開示したうえで、その条件でも購入したいと思ってくださる方と出会えたことです。
そして、もう一つ大切だったのが、買取り後の出口戦略です。
当社では、最初に買い取った時点で、既存建物を活用するという方向を選びました。
リフォームして賃貸住宅として利用し、その後、入居者様の退去を機に売却する。
結果として、賃貸活用と再売却の両方を実現することができました。
今回の経験から感じたのは、再建築不可物件の価値を判断する際には、単に「建替えできないから売れない」と結論を出すのではなく、既存建物の利用可能性、権利関係、維持管理コスト、そして将来的な売却可能性まで含めて検討する必要があるということです。
もちろん、同じ方法がすべての再建築不可物件に通用するわけではありません。
建物の傷みが激しく改修費用が高額になる場合や、私道の通行に問題がある場合などは、賃貸活用も売却も難しくなることがあります。
それでも、問題を一つずつ調査していけば、選択肢が見えてくることがあります。
今回の物件も、最初の所有者様にとっては「処分できない」と言われた不動産でした。
しかし、当社が買い取り、リフォームし、賃貸住宅として活用し、最後には新しい所有者様へ引き継ぐことができました。
不動産は、所有者が変われば使い方も変わります。
そして、使い方が変われば価値の見え方も変わる。
それが不動産の面白さであり、難しさでもあります。
今回の取引では、買主様とお母様、仲介会社の担当者の方にも大変お世話になりました。
本当にありがとうございました。m(_ _)m
株式会社リライトでは、再建築不可、未接道、私道、老朽化した空き家、借地・底地、農地、山林など、日本全国の売却が難しい不動産について、現地調査や役所調査、権利関係の整理を通じた問題解決に取り組んでいます。
他社から売れないと言われた不動産でも、最初から諦める必要はありません。
まずは、なぜ売れないのかを正確に把握すること。
そこから次の可能性が見えてくるかもしれません。(^^)
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