困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺

売れない物件を売却すべく、日々、仕事を楽しみながら思ったことを掲載してしています

 毎年増える売れない困った不動産、ワケアリ物件に対処すべく、特殊なノウハウを駆使し、北は北海道、南は沖縄県まで実際にご相談いただいたことや不動産トラブルにならないための方法、ノウハウを掲載しています。日々、私には他社さんで売れない不動産と言われてしまったお客様からのご相談をいただき、実際にそういった負動産を売却しております。そのため、「困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺」となっております。こちらのブログにはその駆け込み寺への実際にあったご相談について掲載させていただいております。

戸建売却で見落とせない3つのリスク|地中埋設物・残置物処分・解体後の境界確認を現場で考える

難あり物件コンサルタント 田中裕治

 みなさん、こんにちは。

難あり物件コンサルタントの田中です。


今日は朝7時に自宅を出発し、東京都大田区、板橋区、そして埼玉県へ。


それぞれ異なる不動産案件でしたが、不動産実務という視点では非常に重要なポイントがいくつもありました。


今日のテーマを一言で表すなら、


「売却前に潜在的なリスクをどこまで把握できるか」


です。


■大田区の戸建――地中埋設物は「噂だから」で終わらせない


最初は東京都大田区の戸建売却相談。


間口は約2m。


接道については建築基準法上の道路種別、接道長、現況幅員などを確認する必要がありますが、それとは別に今回気になったのが地中埋設物の可能性でした。


お客様によると、昭和51年に分譲された際、以前建っていた建物の廃材などを地中に埋め、その上に建物を建築したという話があるとのこと。


現段階では事実かどうか確認できていません。


ここで重要なのは、


「近所の噂だから関係ない」


と簡単に処理しないことです。


一方、根拠がない段階で地中埋設物が存在すると断定するのも適切ではありません。


売却実務としては、売主様へのヒアリング、過去の土地利用、古い住宅地図や航空写真など、確認可能な資料から事実関係を整理していく必要があります。


さらに今回の土地は、以前作業所として利用されていたとのこと。


そうなると、過去にどのような業種・作業が行われていたのかも気になります。


土地の履歴によっては土壌汚染リスクについての検討も必要になるためです。


土壌汚染については、すべての土地で調査を行えばよいという単純な話でもありません。


調査には費用がかかります。


そのため、まず土地利用履歴などを整理し、必要性を判断することが重要だと考えています。


■板橋区の空き家――残置物処分は「安さ」だけで選ばない


続いて東京都板橋区。


お客様がお引越しされた後の空き家について売却の打ち合わせです。


今回は残置物処分の見積もりからスタート。


空き家売却ではよくある作業ですが、業者選定には注意が必要です。


私自身、過去に残置物処分業者選びで失敗した経験があります。


そのため現在は、


* 見積内容と追加料金の条件

* 何をどこまで搬出するのか

* 適正な処理ルートが確保されているか

* 会社としての実態や連絡体制


などを重視しています。


特に処分量から考えて明らかに安すぎる見積もりについては注意した方がよいと思います。


残置物を安く処分できても、その後にトラブルになれば、不動産売却全体に影響する可能性があります。


不動産会社としては売買契約だけを見るのではなく、その前後の業者選定にも目を配る必要があります。


■古家解体後こそ現地を確認する


板橋区から電車で埼玉県の武蔵藤沢駅へ移動。


当社が購入した土地の古家解体工事が完了したため、現地を確認しました。


更地になった状態で写真撮影を行い、あわせて境界標と越境状況を確認。


解体前には建物や工作物などによって確認しづらかった部分が、解体後には見えるようになることがあります。


特に再販売を予定している土地では、契約直前になって、


「境界標がない」


「隣地から越境している」


「こちらから越境している」


という話にならないよう、早い段階で確認しておくことが重要です。


地味な作業ですが、こうした現地確認が後々のトラブル防止につながります。



ちなみに今回は右手骨折中のため、現地写真の下に私の指まで写り込んでいました。(笑)


境界標は確認できたのに、自分の指は確認できていなかったようです…。


■不動産調査は「問題を探す仕事」でもある


今日の3案件は、


大田区=地中埋設物・土壌汚染・接道

板橋区=空き家・残置物処分

埼玉県=解体後の境界・越境確認


と、それぞれ内容が異なります。


ただ、実務上の考え方は共通しています。


売却する前に、将来問題になりそうなものを可能な限り見つけておくこと。


査定金額を算出して広告を出すだけが不動産会社の仕事ではありません。


特に再建築不可、私道、借地、底地、空き家、農地、山林、市街化調整区域など、一般的に売却が難しい不動産では、現地調査と役所調査の重要性がさらに高くなります。


全国の売れない不動産を見ていると、


「価値がないから売れない」のではなく、「問題が整理されていないから買主が判断できない」


という物件も少なくありません。


何が問題なのか。


解決できる問題なのか。


解決できないのであれば、それを前提として誰に販売するのか。


そして最終的な出口をどう設計するのか。


そこまで考えることが、難あり不動産の売却では重要です。


ネットで多くの情報が取得できる時代になりましたが、最後はやはり自分の足で現地に行き、自分の目で見る。


今日は東京から埼玉まで。


右手は骨折中ですが、足を使った不動産調査はまだまだ続きます。(^^)

「数千万円値下げ可能」のメールが増えている?不動産売却の現場で感じる市況の変化

難あり物件コンサルタント 田中裕治

 みなさん、こんばんは。

難あり物件コンサルタントの田中です。


 今日は朝から茅ヶ崎駅近くのお客様のご自宅を訪問し、不動産売却について打ち合わせ。


不動産売却の相談というと、「査定価格」「売出価格」「売却時期」といった話に目が向きがちですが、実務ではそれだけではありません。


特に自宅や実家、相続不動産の売却では、


・今後誰が住むのか

・相続後の管理をどうするのか

・子どもに不動産を残すのか

・売却後はどこで暮らすのか

・家族それぞれがどう考えているのか


といったことまで整理する必要があります。


つまり、不動産売却について考えることは、ある意味では家族の将来設計について考えることでもあります。


だから私は、売却価格を決める前に「なぜ売却するのか」を整理することが大切だと思っています。


打ち合わせ後は電車で横浜へ戻り、不動産会社を訪問。


ランチはペッパーランチでビーフペッパーライス。


現在、右手を骨折しているため、脂が飛ばないよう紙エプロンをしようとしても片手ではうまく出来ない…。



難あり不動産の調査は出来ても、紙エプロンには苦戦しています。(苦笑)


その後、会社へ戻り、明日の大田区、板橋区での打ち合わせ準備。


そして今日、改めて気になったのが最近の不動産市況です。


「価格相談可能」という物件情報が増えている


私は仕事柄、毎日多くの不動産会社から物件情報を受け取ります。


最近、その中で目につくのが、


「価格相談可能」

「大幅な価格調整が可能」

「数千万円単位で値下げ可能」


という情報です。


今日も複数の不動産会社から、こうした内容のメールが届きました。


ここで重要なのは、一つの物件が値下げされたことではありません。


複数の不動産会社から同じような情報が増えていることです。


不動産市況を判断する際、ニュースや公示地価などの統計を見ることはもちろん重要です。


ただ、実際の売却現場では、それとは別に見るべき数字があります。


例えば、


・売出価格と成約価格の乖離

・販売期間

・問い合わせ件数

・価格変更の頻度

・値下げ幅

・在庫物件数

・不動産会社からの価格相談の増減


などです。


特に高額帯の物件は、購入できる層が限定されるため、売主側の希望価格と実際の買主の購買力に乖離が生じれば、価格調整が大きくなることがあります。


《売れない理由は「物件が悪い」だけではない》


これは地方の不動産でも同じです。


私は全国の再建築不可、山林、農地、市街化調整区域、空き家、借地、底地、私道など、一般的には「売れない」と言われる不動産を数多く扱っています。


こうした物件について、


「需要がないから売れない」


と言われることがあります。


確かに需要は少ない。


ただ、実際には、


需要が少ないことと、需要がゼロであることは違います。


価格設定、売却条件、販売方法、想定する買主、利用方法などを組み直すことで、売却出来るケースがあります。


逆に都市部の優良不動産でも、価格設定を間違えれば売れません。


結局、不動産売却では、


「その不動産を、その価格で買いたい人がいるか」


という市場との接点を考える必要があります。


「待てばもっと高く売れる」が正しいとは限らない


不動産価格が上昇している時期には、


「もう少し待てば高く売れるのでは?」


という考えになりがちです。


ただ、売却を実務として考える場合、相場の天井を当てようとすることはおすすめしていません。


相場は後から振り返って初めて「あそこが高値だった」とわかるものだからです。


それより重要なのは、


「なぜ売却するのか」

「いつまでに売却したいのか」

「いくらなら目的を達成出来るのか」

「売れなかった場合の維持費はいくらか」

「相続まで保有するリスクはないか」


などを整理すること。


空き家であれば固定資産税だけでなく、草刈り、建物管理、近隣対応、修繕、火災や倒壊などのリスクもあります。


山林や農地、再建築不可物件などは、時間が経過したからといって市場性が改善するとは限りません。


むしろ所有者の高齢化や相続によって権利関係が複雑になることもあります。


《市場は変えられない。でも売却方法は変えられる》


今日、茅ヶ崎のお客様と話して感じた「家族の将来」。


そして会社に戻って目にした「数千万円の価格調整が可能」という複数のメール。


一見すると別の話ですが、不動産売却という点ではつながっています。


不動産市場が今後どう動くかを正確に予測することは出来ません。


金利、建築費、人口動態、住宅供給、金融機関の融資姿勢など、さまざまな要因が絡むためです。


ただし、自分たちで出来ることはあります。


不動産の現状を調査する。

市場性を把握する。

法令制限を確認する。

売却方法を考える。

出口戦略を複数用意する。


そして何より、家族で早めに話し合っておくこと。


市場は自分では変えられませんが、売却方法や動き出すタイミングは変えることが出来ます。


全国の売れない不動産を見ていると、「もっと早く相談していれば選択肢があったのに」と思う案件も少なくありません。


反対に、一見すると売却が難しい不動産でも、調査をして問題点を一つずつ整理すると出口が見えてくることがあります。


だからこそ、最初から「売れない」と決めつけない。


相場がないのなら、その不動産に合った市場を探す。


今日もそんなことを考えた一日でした。


さて、明日は大田区、板橋区で打ち合わせ。


不動産市況の行方も気になりますが、その前に私の場合は、骨折で低下した業務処理能力をどうするかが目下最大の課題です。(苦笑)

都心2.2億円物件が1.55億円まで価格相談可

難あり物件コンサルタント 田中裕治

 みなさん、こんばんは。

難あり物件コンサルタントの田中です。


 今日も朝から事務作業。


右手骨折中のため、相変わらず慣れない左手でパソコンを操作しています。


多少は速くなった気がするものの、通常時と比較すれば業務効率はかなり低下。


そんな中、今日は不動産実務者として気になる出来事が2つありました。


一つは石川県、富山県を中心とした大雨。


もう一つは、今日届いた都心の2億2,000万円の一棟物件について「1億5,500万円まで価格相談可能」という情報です。


一見すると無関係ですが、どちらも「不動産を所有するリスク」を考えるうえでは非常に興味深い出来事です。


《石川・富山の豪雨から考える自然災害リスク》


8月27日、石川県、富山県では線状降水帯が発生し、短時間に非常に激しい雨が降りました。


少し前には千葉県でも記録的な大雨による道路冠水や浸水被害が発生しています。


不動産実務では、自然災害リスクの確認は以前にも増して重要です。


土地・建物を査定するときには、


* 洪水浸水想定区域

* 内水浸水想定区域

* 土砂災害警戒区域

* 土砂災害特別警戒区域

* 急傾斜地崩壊危険区域

* 津波災害警戒区域

* 過去の浸水履歴

* 地形・高低差


などを確認します。


重要なのは、ハザードマップだけを見て判断しないこと。


実際の現地では、道路との高低差、側溝、水路、擁壁、周囲からの雨水の流れなども確認する必要があります。


全国の山林、農地、崖地、空き家などを現地調査していると、机上調査と現地で受ける印象が全く違う物件も珍しくありません。


《2億2,000万円→1億5,500万円まで価格相談可能》


そして今日届いた都心の一棟物件。


現況は全空室。



価格は2億2,000万円ですが、内々では1億5,500万円まで価格相談可能とのこと。


実に6,500万円の差額です。


賃料設定は、


月額:682,000円

年額:8,184,000円


単純な表面利回りを計算すると、


2億2,000万円の場合:約3.72%

1億5,500万円の場合:約5.28%


となります。


当然ながら、現況が全空室であれば想定賃料の妥当性を検証しなければなりません。


周辺賃料、募集期間、競合物件、賃貸需要、管理費、固定資産税、修繕費、将来の大規模修繕などを加味して収益性を判断する必要があります。


最近、レインズで感じる変化》


私が最近気になっているのは、不動産会社専用の物件情報システム「レインズ」に、新築・未入居マンションの売却情報が以前より目につくようになったことです。


先日も都内の新築未入居マンションについて、


1億6,600万円→1億4,200万円まで価格相談可能


という情報がありました。


そして今回は、


2億2,000万円→1億5,500万円。


もちろん、個別の売却事情がありますから、これだけで都心不動産市場全体の下落を判断することはできません。


ただ、実務者として日々物件情報を確認していると、売主側の価格に対する姿勢には変化が出始めているように感じます。


《9月決算と不動産会社の在庫リスク》


これから9月末に向けて、決算を迎える不動産会社も少なくありません。


不動産会社が融資を利用して物件を仕入れた場合、売却できない期間が長期化すると、


借入金利、固定資産税、管理費、修繕費、販売経費などの保有コストが発生します。


さらに販売価格を維持したまま在庫期間が長期化すると、資金が固定され、新たな仕入れにも影響します。


不動産会社にとって、


「いくらで売れるか」と同じくらい「いつ売れるか」


が重要です。


そのため、決算や資金繰りのタイミングによっては、利益を圧縮してでも現金化を優先するケースがあります。


今回の6,500万円という価格調整幅について売主会社の経営状況を推測することはできませんが、少なくとも「早期売却を優先する何らかの事情があるのではないか」と考えたくなる水準です。


《インフレ=不動産を持てば安心、ではない》


インフレ局面では、不動産は現物資産として注目されます。


土地価格や建築費、賃料が上昇すれば、不動産所有者が恩恵を受ける可能性があります。


一方で、所有者は同時に、


市場下落リスク、金利上昇リスク、空室リスク、修繕リスク、自然災害リスク


も負います。


さらに地方不動産の場合には、人口減少による需要減少という問題があります。


私が全国の売れない不動産を扱っていて特に感じるのは、地方では「価格を下げれば必ず売れる」とは限らないことです。


100万円を10万円にしても買主がいない。


10万円を1円にしても買主がいない。


そういう土地は実際にあります。


理由は単純で、所有するメリットより所有後の負担の方が大きいからです。


《不動産査定で重要なのは「過去」より「出口」》


売主様から、


「昔は○千万円で買った」


「親から価値があると聞いていた」


「道路付けが良いから売れるはず」


と言われることがあります。


しかし査定で重要なのは取得価格ではありません。


現在の市場で、


誰が、何の目的で、いくらなら購入するのか。


そして、


購入した人が将来どう処分できるのか。


つまり「出口戦略」です。


これは都心の収益物件でも、地方の空き家でも、山林でも、農地でも基本的な考え方は同じです。


《不動産は「所有すること」が目的ではない》


今日の石川・富山の豪雨と、都心物件の大幅な価格相談。


この二つを見て改めて感じたのは、


不動産には「絶対」がない


ということです。


都心だから安心。


新築だから安心。


昔高かったから安心。


土地だから安心。


そう単純ではありません。


だから購入前には法令制限や市場性だけでなく、災害リスクや将来の売却可能性まで調査する。


相続した不動産についても、


「とりあえず持っておく」


ではなく、


「5年後、10年後、この土地を誰が所有するのか」


を考えておく必要があります。


全国の売れない不動産を見ていると、不動産の価値とは単純な「価格」ではなく、利用価値と市場性、維持コスト、リスク、そして出口を総合して判断するものだとつくづく感じます。


不動産市況が変化している時ほど、目先の価格だけに振り回されず、その不動産を「なぜ持つのか」を考える。


それがこれからの不動産所有では、ますます重要になってくると思います。(^^)