困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺

売れない物件を売却すべく、日々、仕事を楽しみながら思ったことを掲載してしています

 毎年増える売れない困った不動産、ワケアリ物件に対処すべく、特殊なノウハウを駆使し、北は北海道、南は沖縄県まで実際にご相談いただいたことや不動産トラブルにならないための方法、ノウハウを掲載しています。日々、私には他社さんで売れない不動産と言われてしまったお客様からのご相談をいただき、実際にそういった負動産を売却しております。そのため、「困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺」となっております。こちらのブログにはその駆け込み寺への実際にあったご相談について掲載させていただいております。

千代田区の転売規制と地方の空き家売却――日南市・吉野町で考えた「価格以外の課題」

難あり物件コンサルタント 田中裕治

■ 売却が進まない時、値下げの前に整理したいこと


 おはようございます。

再建築不可物件コンサルタントの田中です。


不動産の売却が進まない時、価格の見直しは重要な選択肢です。しかし、購入後の用途や必要な費用が分からない物件では、価格を下げても買主が判断できないことがあります。


今回は、千代田区のマンション転売制限のニュースと、2026年10月の宮崎県・奈良県出張を通じて、売却が難しい不動産をどう調査し、販売条件を整理するかを考えます。


■ 転売規制は「対象」「時期」「市場への影響」を分けて読む


千代田区が2025年7月18日に不動産協会へ行った要請は、一定の再開発等事業で販売するマンションに、引渡しから原則5年間の転売制限を特約として付けることなどを求めたものです。


対象は、総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業や市街地再開発事業のうち、これから許認可等を受ける事業とされています。区内の全マンションへの一律の売却禁止とは区別する必要があります。


短期転売を抑え、居住目的の購入者に住宅が届くようにする意義はあります。一方、私は、取引が鈍化する局面で購入への制約が重なれば、停滞を強める可能性を懸念しています。


住宅新報が報じた東日本レインズの2026年9月集計では、首都圏中古マンションの在庫は前年同月比15.1%増、成約件数は同22.7%減でした。


ただし、この数字だけで金利や政策との因果関係は説明できません。また、首都圏中古マンションと地方の空き家・土地は別の市場です。


政策への懸念は見解として持ちながら、個別物件の売却判断には、その地域と条件に合う成約事例、競合物件、問い合わせ内容を使う必要があります。


■ 日南市で感じた、物件の条件と地域の需要を分ける必要性


宮崎県日南市では、現地調査とお客様のご案内後に市内を移動し、「売り家」「売り地」の看板や空き地が目につきました。


現地でお話ししたお隣の方からは、若い人の少なさや働く場所についての懸念も伺いました。


看板の数や一人の方のお話だけで、地域全体の需給や雇用状況は判断できません。しかし、居住用として販売するなら、建物の状態だけでなく、生活や仕事の見通しも購入判断に関わるという視点は欠かせません。


例えば、問い合わせがあっても購入に進まない場合、価格が理由なのか、修繕費なのか、交通なのか、希望用途との不一致なのかで、対応は変わります。


「地方だから売れない」とまとめず、検討が止まった理由を確認することが大切です。


■ 吉野町の荒地調査――買主が知りたいのは、使い始めるまでの条件



奈良県吉野町では、市街化調整区域の荒地を調査しました。市街化調整区域とは、開発や建築を抑える区域です。


町役場の本庁舎、飯貝庁舎、香束庁舎、吉野土木事務所、中和土木事務所などを訪問し、条件を確認しました。


今回把握した課題には、次の点があります。


・水道・下水道・ガスがない

・前面道路に電線・電柱がない

・埋蔵文化財包蔵地に該当する


埋蔵文化財包蔵地とは、地中に遺跡などの文化財が存在することが知られている土地です。


これらの条件から直ちに「何にも使えない」と結論づけることはできません。一方、「安いので買ってから考えればよい」と案内できるものでもありません。


次に検討するのは、希望用途での利用可否、必要な確認や手続き、設備整備の実現性と費用です。


今回の調査は、課題を把握した段階です。活用方法の確定や成約に至った事例ではありません。この進行状況も、確認済みの事項と一緒に明確に伝える必要があります。


■ 野迫川村での気づき――距離の表示を、生活に使える情報へ


野迫川村では、地域を巡る途中でバス停の時刻表を確認しました。掲示されていた路線は運行日や便数が限られ、往復利用を考える必要がある内容でした。


村営バスなど他の手段も含めた確認は必要ですが、不動産の説明では「バス停まで何分」だけでは足りないと感じました。


通勤、買い物、通院など、想定する暮らしに使えるか。

車の利用を前提とするなら、駐車や道路の条件はどうか。


現地で確認した情報を、買主が自分の生活と照らし合わせられる形にすることが重要です。これは、地方の空き家の販売にも活かせる視点です。


■ 再建築不可物件でも、原因の整理が販売方針につながる


再建築不可とは、現在の条件では建物を建て替えられない状態です。市街化調整区域とは別の問題ですが、物件ごとの制約を調べる必要がある点は共通しています。


売却方針を考える際には、案件に応じて次の順序で整理します。


1.使い方を制約する条件を調べる

道路の種類や敷地との接し方、権利関係、建物・設備の状態などを確認します。


2.買主の総負担を考える

購入代金に加え、諸費用、修繕、残置物撤去、設備整備、維持管理などを検討します。未調査の費用は、見積もり済みのように扱いません。


3.条件に合う利用者を考える

居住や既存建物の利用、隣地との一体利用など、実現可能性を確かめながら対象を絞ります。


4.問い合わせの反応に応じて販売条件を見直す

価格が合わないのか、情報が不足しているのか、用途が合わないのかを分け、必要な対応を考えます。


値下げが適切な場合もあれば、追加調査や関係者との協議を優先すべき場合もあります。費用のかかる解体や改修についても、売却への効果を見極めてから判断したいところです。


■ 相場を待つだけでなく、判断できる材料を整える


千代田区の転売制限は都心の投機的な取引への対応です。一方、地方の空き家や利用制限のある土地では、使い手が購入後の負担を判断できる情報が求められます。


市場が変わっても、個別の問題を調べる仕事の重要性は変わりません。


株式会社リライトは、現地・役所・権利関係などの調査を通じて、売却が難しい原因を整理し、必要に応じて近隣や関係者との話し合いを進めます。


相続した空き家、再建築不可、市街化調整区域の土地などでお困りの方は、お手元の資料と、これまで売却が進まなかった経緯をお聞かせください。


不明な点を明らかにすることが、次の方へつなぐための一歩になります。


株式会社リライト公式サイト

https://www.relight.co.jp/


執筆:株式会社リライト 代表取締役 田中裕治

作成日:2026年10月27日


参考資料

千代田区「千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請について」(2025年7月18日)

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/koho/pressrelease/r7/r707/20250718-2.html


住宅新報「9月の首都圏中古マンション、在庫数5万戸超、過去最多に」

https://www.sjt.co.jp/news/101037

※市場数値は東日本レインズ2026年9月集計を伝える同記事によります。

相続が複雑な家・建築途中で工事が止まった家――売却の相談はどこから始める?

難あり物件コンサルタント 田中裕治

不動産を売りたいのに、売り出す前の段階で話が止まってしまう。

そんな悩みを抱える方が、実際にいらっしゃいます。


相続人の確認で予想外の事情が分かったり、新築工事が途中で止まったりすると、通常の売却査定だけでは進められません。


難あり物件コンサルタントの株式会社リライト、代表の田中です。


今回は、当社に寄せられた2つのご相談から、売却の前に何を整理する必要があるのかをお伝えします。いずれも相談段階で、売却や買取りが決まった事例ではありません。


【東北地方の相続不動産――土地と建物の所有者が違う】


奥様から伺った内容では、土地はご主人様が100%所有。

建物は、ご主人様25%、お父様50%、お母様25%の共有でした。


昨年、ご両親が他界され、建物の持分について相続が発生。相続人を調べる中で、お父様には1人、お母様には2人、ご主人様が存在を知らなかったお子様がいて、相続人となることが分かったとのことです。


さらに、建物は東日本大震災で被災し、修繕も難しいと伺っています。


このケースでは、少なくとも次の問題を分けて考える必要があります。


・土地と建物、それぞれの所有関係

・ご両親それぞれの相続人と、相続手続きの状況

・建物の被災状況や利用・解体の可能性

・費用を踏まえた売却の見通し


土地が単独名義でも、建物まで一人で自由に処分できるとは限りません。また、ご両親が亡くなった順序や遺言の有無によっても、確認すべき内容は変わります。


これらは今後の確認事項であり、当社がすべて調査済みということではありません。


登記や相続の手続きは司法書士、争いがある場合の法律上の対応は弁護士など、専門家の関与が必要になる場面があります。当社は、不動産の現状や市場性を踏まえ、売却に向けて何を整理する必要があるかを考えます。


ご主人様は、突然知った家族の事情にショックを受けられたそうです。権利関係を整理する際も、当事者の気持ちへの配慮を欠かすことはできません。


【横浜市の未完成住宅――工務店と連絡が取れず工事が停止】


もう一件は、上棟後に工事が止まってしまった新築住宅のご相談です。


上棟とは、柱や梁など、建物の骨組みが組み上がる段階のこと。


工務店と連絡が取れなくなり、相談者様は建築途中の状態での売却を希望されています。なお、工務店の倒産が確認された案件ではありません。


この場合、土地の相場だけで買取価格を判断するのは難しく、次のような確認が必要になります。


・工事請負契約の内容と、支払い済みの代金

・建築途中の建物や資材の所有権

・設計図面や建築確認関係の書類

・施工済み部分の状態と、工事の引継ぎの可否

・完成までに必要な費用と、完成後の市場性


現在は当社での買取りも含め、対応の可能性を検討する段階です。


家づくりが止まった方にとって、「売れるかどうか」は生活の立て直しにも関わる問題です。だからこそ、買い取れると安易に約束することも、事情を確認せずに判断することも避けたいと考えています。


【売却できない原因を、価格だけで判断しない】


この2件に共通するのは、値段を下げるだけでは解決しない問題があることです。


誰が売却の意思決定に関わるのか。

どの書類や手続きが必要なのか。

建物を使えるのか、追加費用がどれだけかかるのか。


こうした点を確認して初めて、売却や買取りの選択肢を具体的に考えられます。


また、これは別の問題提起ですが、崖地などの処分では、引取り後の管理も気になります。引き受ける会社が将来事業を続けられなくなった場合、その土地を誰が管理するのか。


所有者が変わることと、現地の問題が解消することは、必ずしも同じではありません。次の所有者につなぐ際には、周辺への影響も考えたいと思っています。


【手続きが終わる前でも、売却の相談はできます】


「相続の話がまとまってから」

「建物の問題を片づけてから」


そう考えて相談を先送りしている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、売却の見通しと必要な手続きを並行して整理した方が、進め方を考えやすい場合もあります。


株式会社リライトでは、再建築不可、複雑な共有や相続、建築途中の物件などについても、お話を伺い、調査や対応の可能性を検討しています。


ご相談の際は、まず次の3点を分かる範囲でお知らせください。


・不動産の所在地

・今、何に困っているのか

・売却したい、管理の負担を減らしたいなどのご希望


登記の資料、現地写真、契約書などがあれば、状況の把握に役立ちます。すべてそろっていなくても、まずはご相談ください。


お知り合いに同じようなお悩みを抱えている方がいらっしゃれば、この記事をご紹介いただければ幸いです。


すべての案件を買い取れるわけではありませんが、何が障害になっているかを整理することは、次の一歩につながります。



ご自身だけで「売れない」と結論を出す前に、一度お話をお聞かせください。


株式会社リライト公式サイト

https://www.relight.co.jp/


公式サイトのお問い合わせ窓口からご相談いただけます。

地方の空き家活用は何から始める?奈良県の現地調査で考えた「迎える準備」

難あり物件コンサルタント 田中裕治

地方の空き家や使われていない土地を売却する際、「価格を下げれば買い手が見つかるのか」と考えることがあります。


しかし、取得後に何ができるか、整備にどれだけ費用がかかるかが分からなければ、安くても購入の判断は難しいものです。


一方、条件を整理しただけでは、そこで暮らしたり事業をしたりする魅力が伝わらないこともあります。


難あり物件コンサルタントの田中です。

2026年10月18日から20日までの奈良県出張では、吉野町の物件調査と各地の町歩きを通じて、この二つの課題を考えました。


■ 現地と役所で、土地を見る視点が変わる


今回の対象は、吉野町の農地に囲まれた荒地でした。



現地では、2m以上に伸びた雑草を確認。翌19日には吉野町役場の複数の庁舎、吉野土木事務所、中和土木事務所などを訪れ、電話での確認も行いました。


調査で把握した主な条件は、次のとおりです。


・市街化調整区域に位置している

・水道、下水道、ガスがない

・前面道路に電線、電柱がない

・埋蔵文化財包蔵地に該当している


市街化調整区域とは、市街化を抑えるため、建築や開発に制限がある区域です。埋蔵文化財包蔵地とは、遺跡などが地中に存在すると知られている場所です。


今回の土地では、具体的な利用方法や整備費用、売却先まで決まったわけではありません。


現段階の成果は、活用を考えるうえで確認しなければならない条件が見えてきたことです。


例えば、電気や水道が必要な利用なら、確保する方法と費用の検討が欠かせません。土地代だけで予算を考えると、取得後の整備負担を見落とすおそれがあります。


「荒れている土地」という見た目の情報を、「利用判断に必要な条件」へ整理していく。地方の不動産調査では、この作業が重要だと考えています。


■ 吉野山で見た、訪問者を受け入れるための設備


吉野山では、歴史ある建物や景色に加え、複数の場所に整備されたトイレが印象に残りました。


目的地に魅力があっても、移動や滞在に不安があれば、訪問の負担は大きくなります。食事や休憩ができることも含め、受け入れる環境が整っていることには意味があります。


この視点は、空き家を店舗や宿泊施設として活用する計画にも通じます。


建物の内装だけでなく、現地までの移動、駐車、周辺での過ごし方、現地管理まで含めて考える。そのうえで、建物や道路の条件、予定用途に必要な手続きなどを個別に確認する必要があります。


今回、吉野山の施設の運営収支まで調べたわけではありません。訪問者として実感したのは、「来たい理由」を「安心して訪れられる体験」にする準備の大切さでした。


■ 今井町とマルシェから考えた、敷地の外にある魅力


橿原市今井町では、町家が連なる街並みそのものが、散策したくなる理由になっていました。



一軒の建物の魅力に、周囲の景観やお店での体験が加わる。物件の利用価値を考える際、敷地の外を見る必要性を感じました。


吉野町の「くにすの杜マルシェ」でも、廃校になった校舎に人が集まる様子を見ました。


ただし、一日の集客が、そのまま通年の需要や事業採算を示すわけではありません。


不動産活用に置き換えるなら、イベント時と普段の利用を分けて考え、誰が運営し、どのように維持費を賄うのかまで検討したいところです。



福西和紙本舗で伺った、作り手が守ってきた和紙を使い手が様々な用途へ広げているというお話も印象的でした。


既存の価値を守る人と、新しい使い方を考える人。その両者をつなぐ視点は、古い建物の引継ぎにも役立つと感じます。


■ 野迫川村で考えた、魅力の組合せと運営の現実



最終日に立ち寄った野迫川村では、霧で期待していた眺望を楽しめませんでした。




一方、ホテルのせ川の温泉とカシキ鍋には満足できました。


景観を目的に訪れた人が、天候に恵まれなくても別の体験を楽しめる。滞在の魅力を複数用意することの意味を、自分自身の体験から感じました。


雲海や星空の見込みを知らせる仕組み、家族や愛犬とゆっくり過ごす宿なども、現地で思い浮かんだアイデアです。


ただ、これらは需要や収支を検証した提案ではありません。


宿泊事業として検討するなら、建物や営業上の条件に加え、地震・土砂災害などのリスクと災害履歴、緊急時の移動・通信、清掃や修繕を担う人を確認する必要があります。


魅力を見つけることと、継続できる事業にすることの間には、具体的な調査が必要です。


■ 所有者が最初に整理したいこと


今回の出張から、地方の空き家や土地の売却・活用では、次の三点を揃えることが大切だと考えました。


一つ目は、「利用できる条件」です。


道路、権利関係、建物の状態、土地利用の制限、設備などを確認し、分かっていることと未確認のことを分けます。


二つ目は、「利用する人にとっての魅力」です。


眺望や静けさ、街並み、周辺施設などを、誰のどのような使い方に合うのかという視点で整理します。


三つ目は、「使い続ける負担」です。


取得費だけでなく、整備・修繕・維持管理の費用や手間を見込みます。事業利用なら、運営する人と収支の検討も必要です。


所有者の方は、まず手元の図面や権利関係の資料、過去の修繕記録などを集め、気になっている問題を書き出すところから始めると、相談時に状況を共有しやすくなります。


費用をかけて改修や整備を始める前に、想定する使い方が可能かを確認することが大切です。


■ 人を迎える準備を、不動産の流通にも


「人は流れてくるのではなく、人が人の流れをつくる。もてなす準備をする。それが町おこしなのではないか」


これは、今回の出張で私が感じたことです。


地域の方々が積み重ねてきた営みを知ると、不動産を「人が来ない場所にある物件」という一言で評価することはできません。


一方で、魅力があるから必ず売れる、活用できるとも言えません。


株式会社リライトは、現地や役所で調べ、問題を整理し、次の所有者が判断できる情報を揃えることを大切にしています。


今回の吉野町の土地も、まだ調査から次の可能性を探る段階です。制約を確認しながら、その場所に合う使い手へつなぐ方法を考えていきます。


使われていない不動産の条件を明らかにすることも、新しい人を迎えるための準備の一つ。


そう考えると、一件一件の調査が、地域の次の営みにつながる仕事になるのではないでしょうか。


地方の空き家や管理が難しい土地などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。


株式会社リライト公式サイト

https://www.relight.co.jp/