困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺

売れない物件を売却すべく、日々、仕事を楽しみながら思ったことを掲載してしています

 毎年増える売れない困った不動産、ワケアリ物件に対処すべく、特殊なノウハウを駆使し、北は北海道、南は沖縄県まで実際にご相談いただいたことや不動産トラブルにならないための方法、ノウハウを掲載しています。日々、私には他社さんで売れない不動産と言われてしまったお客様からのご相談をいただき、実際にそういった負動産を売却しております。そのため、「困った不動産・ワケアリ物件の駆け込み寺」となっております。こちらのブログにはその駆け込み寺への実際にあったご相談について掲載させていただいております。

知っておきたい崖のこと

 みなさん、こんばんは。

難あり物件コンサルタントの田中です。


 今回は、崖について。

 私がいる横浜市はその半分が崖でもう半分が海みたいな感じ。

 そのため、3件に1件は崖に関係する不動産が多く、毎回頭を抱えています。苦笑


 そんな中、今日、神奈川県某所の土地(更地)の調査に市役所と県の出先機関をまわってきました。



 調査対象の土地自体は平坦地なのですが、その隣に高さ10mを超える崖がそびえ立ち、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定されている。

 レッドゾーンは、土砂災害リスクが極めて高い区域のため、特定開発行為などの際には許可制となっており、許可が得られないと工事が出来ないというもの。

 

 ちなみに今回の調査対象物件についてはまず市役所で「土砂災害防止法により、隣地の崖を整備してくれないか」と問い合わせ。

 その回答は、「土砂災害防止法は崖の所有者に崖を整備しなさいという法律ではなく、崖が関係する危ない土地の利用者に安全に建物を建築するように規制をかけるための法律なんです」とのこと。

なるほど、わかりやすい。

土砂災害防止法では、隣地にある崖の整備は出来ませんね…。


 私も食い下がらず、「それでは…、急傾斜地法により崖の整備をしていただけないですか?」と続けて質問。

 すると「急傾斜地法は、あくまで一定規模以上の崖の隣に民家があり、その崖地が危険でかつ、それらの住民より要望があったときに初めて急傾斜地法による急傾斜地崩壊危険区域に指定できるのか、県の資金で崖を整備すべきかなどを検討します。今回の相談地は建物がなく更地のため、そもそも急傾斜地法の対象とはなりません」とのこと。

こちらもよくわかる。

売主様が古家解体前に急傾斜地法の申出をしていたら状況は変わっていたかも。


 別で所有する横浜市内の土地の話になりますが、隣地に崖があることでレッドゾーンに指定されてしまい、建築制限を受けてしまったという時に弁護士の先生に「隣地の崖で価値が下がったから、隣地に崖を整備するよう訴訟できますか?もしくは価値の減額分を損害賠償請求出来ますか?」とお聞きしたところ、「崖の整備をするようにと訴訟したとしても整備費用の全額を崖の所有者が負担するということは、ありません。多額の資金を投下して崖の整備をした場合、崖所有者だけでなく、崖の隣地所有者、今回の場合、田中さんも利益を享受できることとなるため、崖所有者が整備費用全額負担せよ、とはならないのです。それに購入される前から崖があったわけですよね?つまり知っていたことになりますね。崖があることによる価値の下落分の損害賠償請求にしても、結局、判断が難しく、かつ、もし下落分の損害賠償額を勝ち取ったとしても崖所有者がその資金を持ち合わせてなければ、まさに『勝負に勝って戦に負けた』ことになってしまいます」と。

確かに理屈はわかりますが…、気持ち的にストンと落ちないのは私だけでしょうか?

ただ、もし、こちらのブログをご覧いただいている方の中で自宅脇に崖があるという方がいらっしゃいましたら、急傾斜地法の申出をされるかどうか検討してもよいかもしれませんね。


 ちなみに今日は午前中に崖地の調査、ランチは魁力屋でラーメンを食べ、午後から不動産取得税(約30万円)の還付請求し、会社に戻る。

 会社では茨城県小美玉市の土地の契約書のチェック、沖縄県読谷村の未接道の底地(貸宅地)の契約書の作成。

結局23時過ぎまでみっちり仕事。

明日は水曜日、期日前投票でも行ってきますかね。(^^)